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【産科医監修】妊婦さんが気をつけたい感染症「インフルエンザ」

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ママが、おなかをさすりながら「今年はおちびちゃんがおなかにいるから、インフルエンザにかからないように気をつけなくちゃ」って言ってる。パパが「僕も、うつさないように予防接種を早めに受けておくね」ってママに声をかけてる。ママ、パパ、わたしのためにありがとう。

妊婦さんにとって、風邪やインフルエンザなどの感染症はできるだけ避けたい病気です。ここではインフルエンザについて「妊娠中にかかるとどうなるの?」「赤ちゃんへの影響は?」などの疑問・質問を、産婦人科医・医学博士の竹内正人先生に聞きました。

  • 【この記事のポイント】
  • インフルエンザは母子感染しないため、おなかの赤ちゃんへの直接的な影響はありません。
  • ただし、妊娠中のインフルエンザの症状は重症化しやすいといわれています。
  • うがい、手洗い、マスクなどの感染対策でしっかり予防することが大切です。
  • 予防のためには、妊婦さんだけでなく、家族など周りの人もインフルエンザワクチンの接種が必要です。
【産科医監修】妊婦さんが気をつけたい感染症「インフルエンザ」,ママ、あのね。 【産科医監修】妊婦さんが気をつけたい感染症「インフルエンザ」,ママ、あのね。

インフルエンザの主な症状

インフルエンザは、かぜと同じような症状(38度以上の発熱・頭痛・関節痛など)が特徴です。何も治療をしない場合でも、通常は1週間程度で自然に治癒します。ただし、妊婦さんや持病のある人、高齢者を中心に、肺炎を発症して重症化することがあります

インフルエンザが流行するのは毎年11月から2月頃まで。この時期はインフルエンザワクチンを接種するなど、予防につとめて、かからないようにすることが大切です。

妊娠初期の高熱

妊娠時のインフルエンザ感染で気をつけること

妊娠中のインフルエンザの症状

妊婦さんは、通常よりも免疫力が低下しているため、インフルエンザが重症化しやすいといわれています。

また、妊娠後期になるほどインフルエンザの重症化リスクは高くなります。おなかが大きくなると肺が圧迫されて呼吸がしにくくなり、肺にある血管の流れも滞りやすく、合併症で肺炎になってしまうと症状が重くなりやすいためです。

おなかの赤ちゃんへの影響

現在のところ、インフルエンザウイルスが、おなかの赤ちゃんに直接影響する例は報告されていません。

ただ、妊娠初期の高熱は、赤ちゃんの臓器の形成に何らかの影響を与える可能性が指摘されています。妊娠初期の人は特に、高熱が出たら早めに受診して熱を下げる治療をすることが大切です。

妊娠初期の受診

インフルエンザかな?と思ったら

まずは病院に行き、インフルエンザの検査を受けます。38度以上の高熱や頭痛など、インフルエンザのような症状が出たら、かかりつけの産婦人科にすみやかに電話で相談しましょう。

検査結果が陽性の場合は、抗インフルエンザウイルス薬のタミフル(内服薬)や、リレンザ(吸入薬)などが処方されます。発症から48時間以内に服薬することで、発熱期間を短くしたり、ウイルスの排出量を抑えたりする効果を発揮します。

なお、これらの薬は、現在までに妊婦さんやおなかの赤ちゃんへの影響はないと報告されています。

インフルエンザは、発症後すぐの検査だとウイルス量が少なくて陰性になることがあります。その場合でも明らかにインフルエンザの症状がある場合は抗インフルエンザウイルス薬を処方してもらうこともできます。

逆に、発症からすでに48時間以上経っている場合、抗インフルエンザウイルス薬の効果は期待できませんが、解熱鎮痛薬のカロナール(アセトアミノフェン)や漢方薬などを使って症状を抑えることができます。

妊娠初期

身近な人がインフルエンザにかかったら

家族がインフルエンザにかかったら、室内ではマスクを着用して、寝室は別にするなどの配慮が必要です。食事は別にして、箸や食器を共有するのは避けましょう。タオル類も別々のものを使います。

周囲の人がインフルエンザにかかった場合、妊婦さんはまだ感染の症状が出ていなくても、抗インフルエンザウイルス薬を「予防投与」という形で服用することが認められています。感染が心配な場合は、かかりつけの先生に相談してみるとよいでしょう。

インフルエンザにかからないための予防策

手洗い・マスクが基本

風邪の予防と同じく、せっけんやハンドソープを使った手洗いや、マスク着用が有効です。特に外出後や食事の前には、欠かさず手洗いを心がけましょう。

流行のピーク時は人混みを避けるのはもちろん、発熱やせきなどの症状がある人との接触は避けるようにします。

妊娠初期 風邪の予防

生活習慣を整える

やはり大切なのは規則正しい健康的な生活です。睡眠を十分にとり、つわりが問題なければバランスのとれた食事を心がけ、適度な運動も習慣にしましょう。不規則な生活で体の抵抗力が弱くなると、日和見感染といって感染症や病気にかかりやすくなります。

また、インフルエンザの流行時期でも、気にしすぎて家に閉じこもってばかりだと、逆にストレスがたまってしまいます。オープンで風通しがよい場所に散歩に出かける程度なら、それほど神経質にならなくても大丈夫です。

妊娠 散歩

インフルエンザワクチンで予防しよう

インフルエンザワクチンの種類

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンといって、死滅した状態のウイルスが入っています。生ワクチンではないので、妊婦さんが接種しても影響はありません

ワクチンには防腐剤のチメロサールが含まれていることがありますが、ごく微量で、母体やおなかの赤ちゃんへの影響は報告されていません。気になる人は、かかりつけの先生に防腐剤不使用のワクチンを希望することを伝えてください。

妊娠 インフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンを接種する時期

ワクチンは、打ってから2~3週間程度で効力を発揮し、4~5カ月持続します。そのため、流行の少し前の10~11月に接種しておくことをおすすめします。

妊婦さんがワクチンを接種するメリットは、母体にインフルエンザの抗体ができることで、おなかの赤ちゃんも胎盤を通して抗体を受け取ることです。生後半年までは赤ちゃんも抗体を持つことができ、インフルエンザにかかるリスクを減らすことができます。生後半年未満の赤ちゃんのインフルエンザワクチン接種は禁止されているので、ぜひ妊娠期間中に接種しておきましょう

妊娠 インフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンの注意点

ワクチンの予防効果は実証されていますが、100%の予防効果ではありません。ワクチンを接種してもインフルエンザに感染する可能性はありますが、ワクチン接種を行った場合は高熱などの症状が抑えられ、軽い症状で済む傾向があります。感染リスクを減らすためにも、妊婦さん本人だけでなく、一緒に住んでいるご家族もぜひ接種してください

また、インフルエンザワクチンには卵を使っています。卵アレルギーの人でも、多くの場合は問題ありませんが、卵を完全除去している重篤な卵アレルギーの妊婦さんは医師に相談してください

家族みんなで予防をすることが大切です。もし感染したとしても、インフルエンザは治療法が確立されている感染症なので、適切に対応すればまず問題ない病気です。メンタルの状態も体調に影響しますから、過度に心配しすぎないようにしてくださいね。

竹内 正人

竹内 正人(産婦人科医、医学博士)

日本医科大学卒業。同大学産婦人科教室入局。米国ロマリンダ大学研究員、日本医科大学大学院を経て、日本赤十字社葛飾赤十字産院産科部長に就任(2005年退職)。長年の現場での経験を生かしながら、よりやさしい「生まれる」「生きる」を目指し、地域、国、医療の枠を超えたさまざまな取り組みを展開している行動派産科医。著書・監修書多数。

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