乳歯入門
2歳半~6歳頃

【小児歯科医監修】子どもの歯並び① 上顎前突(出っ歯)の対処法

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「もしかしたらおチビちゃん、前歯が出すぎてるのかも…?」って、ママがわたしのお口の中を心配そうにのぞきこんでる。パパは「まだ2歳だから、心配しなくても大丈夫だよ!」って言っているけど、ママは「早いうちに治療したほうがいいのかな…?」だって。わたしの前歯、どうしたらいいのかな?

子どもの歯並びは将来にかかわる問題なだけに、気になるママ、パパは多いようです。子どもの歯並びシリーズ第1回は、「上顎前突(じょうがくぜんとつ)/出っ歯」。治療の対象になるケースや、矯正治療の方法などについて、小児歯科医・歯学博士の坂部潤先生に聞きました。

【小児歯科医監修】子どもの歯並び① 上顎前突(出っ歯)の対処法|ママ、あのね。 【小児歯科医監修】子どもの歯並び① 上顎前突(出っ歯)の対処法|ママ、あのね。
  • 【この記事のポイント】
  • 上顎前突(出っ歯)は、かみ合わせが悪くなり、ものがかみにくくなる
  • 口呼吸や唇の乾燥、姿勢の悪化、睡眠時無呼吸症候群などの症状が出ることも
  • 上顎前突(出っ歯)は、あごの発達の弱さが主な原因
  • 3歳以上の子どもは、長時間の指しゃぶりで上顎前突(出っ歯)になるケースも
  • 上顎前突(出っ歯)の治療開始は6歳以上が目安
  • お家で見る上顎前突(出っ歯)をチェックするポイント
    ①〜③のいずれかにあてはまる場合は、上顎前突(出っ歯)の可能性があります。
  • ①下の前歯が全く見えないほど隠れている
  • ②横から見ると、下の歯の先端が上の歯の裏側に接触していない
  • ③歯が前に出すぎていて、唇のしまりが悪い

上顎前突(出っ歯)とは?

上顎前突(出っ歯)の特徴

上の歯が前に出すぎている状態を「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」といい、「出っ歯」ともいわれています。

前歯の役割は、食べ物をかみきること。奥歯をかみ合わせて「イー」をした時に、正面から見ると上の前歯と下の前歯の中心線が一致していて、下の前歯が半分ほど上の前歯に隠れている状態が正しい状態です。

一方、出っ歯は「①下の前歯が全く見えないほど隠れている」「②横から見ると、下の歯の先端が上の歯の裏側に接触していない」「③歯が前に出すぎていて、唇のしまりが悪い」といった特徴があり、さまざまな症状を引き起こします。

上顎前突(出っ歯)の症状

上顎前突(出っ歯)の子どもは、前歯でうまくものがかみきれません。横の歯でかみきろうとするなどして、かみ合わせが悪くなります。

また、前歯が出ているので口が閉まりにくく、人によっては口呼吸になったり、唇が慢性的に乾燥したり、ものを食べる時にクチャクチャと音が出たりします。そのほか、下あごの成長が弱いことに関連している場合には、前かがみの姿勢になったり、「睡眠時無呼吸症候群」の症状が出る子どももいます

上顎前突(出っ歯)の原因

  • 前歯、あごの成長の問題
    上顎前突(出っ歯)の主な原因は、「前歯が突き出ている」「上あご自体が前に出すぎている」「下あごの成長が弱い」の3つがあります。日本などアジア系の人は、一般的に下あごの成長が弱い人が多いという特徴があります。
  • 遺伝
    ママやパパに上顎前突(出っ歯)の傾向があれば、子どもに受け継がれる可能性も高くなります。
  • くせ(3歳以上かつ長時間の指しゃぶり)
    3歳以上で、かつ指しゃぶりをしすぎている子どもは、指を吸う力によって上の前歯が押し出されて上顎前突(出っ歯)になりやすくなるといわれています。ただし「寝ている間にずっと指しゃぶりをしている」など、長時間(目安は1日6時間以上)の場合です。たまに指しゃぶりをするくらいでしたら問題ありません。なお、3歳までの指しゃぶりは歯並びにそれほど影響しないので、気にしなくても大丈夫です。

上顎前突(出っ歯)の治療法

「6歳以上」が治療開始の目安

上顎前突(出っ歯)は、未就学児(6歳未満)の場合は治療の対象にならないケースがほとんどです。上顎前突(出っ歯)の主な原因である下あごは、「長管(ちょうかん)骨」という骨の一種で、身長が伸びる小学生以降にぐんぐん成長します。そのため上顎前突(出っ歯)の治療は、その時期に行うほうが最も効果が出やすいといわれています。

未就学児の段階で前歯が少し前に出ているくらいでしたら、急いで治療する必要はありません。成長するにつれてだんだん歯並びが整ってくることもよくあります。ただ、直接診断しないとわからないことが多いため、いちど歯科医院を受診することをおすすめします。

6歳未満で治療が必要なケースも

まれに、6歳未満の子どもが上顎前突(出っ歯)の治療対象になることがあります。下あごが著しく後退していたり、「ものを前歯でうまくかみきれない」「口が閉まらなくて、食べこぼしが多い」「言葉をうまく発することができない」など、生活に大きな支障をきたしている場合は、すみやかに矯正器具を使っての治療を開始する場合があります。

また、上顎前突(出っ歯)の子どもは、他の症状を併発していることもよくあります。例えば「叢生(そうせい=前歯が押し出されてデコボコになっている)」や「過蓋咬合(かがいこうごう=かみ合わせが深くて上の前歯が下を覆っている)」などです。その場合は、上顎前突(出っ歯)の治療を待たずに、これらの症状を早いうちから治していきます。

叢生(そうせい)

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治療までの流れ

まず、レントゲン撮影や歯型を取る検査をして、上顎前突(出っ歯)の原因を探ります。歯だけが傾いているケースもあれば、あごの骨格自体に問題があるケースもあります。それぞれのケースで治療方針が異なるので、しっかり原因を突き止めます。

指しゃぶりのくせが原因だと考えられる場合は、治療の前に、まずはくせを直してもらうように指導します。自然に治るかどうかを見極めるために、2~3ヵ月おきに経過を観察します。

治療法と治療期間、費用

上顎前突(出っ歯)の原因が、歯だけの問題なのか、骨格バランスが関わっているのかで治療法は異なります。

歯だけが前に出ている場合は、一般的にはプレート型の器具をつけて歯の傾きを直します。そのほか、歯に取り付ける固定式の器具をつけて直す歯科医師もいます。あごのかみ合わせに関係する場合は、かむタイプの装置(マウスピース)を使います。

上顎前突(出っ歯)の治療だけなら、1~2年の治療期間が目安です。保険は適応されず、自費治療になります。

上顎前突(出っ歯)の治療で心がけたいこと

上顎前突(出っ歯)の治療で最も大事なのは、継続して取り組むことです。歯科医院では、子どもの歯並びの健全な成長・発育を考えて治療方針を提案しているので、いかに継続するかが重要です。そのためには毎日使う器具に慣れてもらったり、指しゃぶりのくせをやめてもらうための工夫が必要になります。子どもの特性に合わせて、例えば「装置を一晩つけられたら、カレンダーにお気に入りのシールを貼る」といったごほうびをあげるのもいいでしょう。

歯科医院ごとに上顎前突(出っ歯)の治療方針は異なります。「レントゲンを撮るなどの必要な検査をしてくれるか」「治療の根拠を明確に説明してもらえるか」をよく確認しましょう。

坂部 潤

坂部 潤(小児歯科医、歯学博士)

日本小児歯科学会認定小児歯科専門医。東京・目黒、成城、麻布、代々木上原にある小児歯科専門医院キッズデンタルを開業。継続管理型の小児歯科専門医療を提供している。

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