新生児・乳児期
生後3カ月~5カ月

【医師監修】赤ちゃんが誤飲、誤嚥したときの対処(2)

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赤ちゃんが誤って何かを飲み込んでしまったら……。
すぐに救急車を呼ぶ? 病院に連れて行く前にやるべきことは? 水を飲ませるべき?

もしもの時に落ち着いた行動ができるように、誤飲・誤嚥時の対処法を事例別にまとめました。
まだ赤ちゃんに意識がある時は、何を飲み込んだかによって、「吐かせるか」、「吐かせないか」の対処法が変わります。ぜひ参考にしてください。

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【医師監修】赤ちゃんが誤飲、誤嚥したときの対処(1) 母子

何も飲ませずに吐かせる場合

誤飲・誤嚥物 ⇒ タバコ、タバコの吸い殻

タバコは、水にニコチンが溶け出す性質があるので、水を飲むと体内への吸収が促進されてしまいます。誤飲したら何も飲ませず、すぐ吐かせましょう。 乾いたタバコを少し(2cm以下)かじった程度なら、5~6時間様子を見て、吐き気があるかや顔色が悪ければ受診します。灰皿や空き缶の吸い殻の液体を飲んでしまった場合は、何も飲ませず、すぐ受診してください。

牛乳を飲ませてから吐かせる場合

誤飲・誤嚥物 ⇒ アルコール類、大人の医薬品、洗濯・台所用洗剤、香水・消臭剤

コップ半量ほどの牛乳を飲ませます。牛乳を飲ませることで、毒の成分を牛乳に吸着させて、食道や胃粘膜を保護できます。牛乳がなければ水を飲ませてください。水でも毒の成分を薄められますし、吐きやすくします。飲んだ量が少量なら、吐かせてから様子を見て、おかしいと思ったら受診してください。

何も飲ませず、吐かせないまま受診する場合

誤飲・誤嚥物 ⇒ 台所用・衣類用の漂白剤(強アルカリ性)、トイレ用洗剤・パイプ用洗剤(強酸性)、灯油、ガソリン、マニキュア、除光液、防虫剤のナフタリン・樟脳 (しょうのう)、 ボタン電池、画びょう、ピアス、お金(コイン)など

マニキュアや除光液、灯油・ガソリン、洗剤・漂白剤類は、吐かせてはいけないものの代表格です。粘膜にやけどを起こして食道や内臓を傷つけたり、肺炎を起こしたりするためです。少量をなめただけでも、すぐ受診してください。ナフタリンや樟脳は、油に溶ける性質を持つ(脂溶性)ので、牛乳を飲むと逆効果です。なめた程度ならそのまま様子を見ます。かけら程度でも飲んでいる場合には、すぐに受診します。特に樟脳は、けいれんを誘発するので吐かせてはいけません。 先のとがったものを飲みこんだときもすぐ受診を。
コインなどの固形物は、多くの場合は2 ~ 3日以内に便から排出されますが、念のため受診しましょう。

誤飲・誤嚥時は「中毒110番」

どうするべきか判断に迷ったら、公益財団法人 日本中毒情報センターの「中毒110番」に電話で相談をしましょう。
タバコや洗剤などの化学物質、医薬品、動植物の毒などで起こる急性中毒について、情報提供しています。

公益財団法人 日本中毒情報センター 中毒110番
•大阪中毒110番(24時間対応) 072-727-2499
•つくば中毒110番(9時~21時対応) 029-852-9999

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細部 千晴

細部 千晴(日本小児科学会小児科専門医)

細部小児科クリニック院長・日本小児科医会子どもの心相談医。著書・監修書に『この1冊であんしんはじめての育児事典』(朝日新聞出版)、『「どうする?」がわかる 赤ちゃんと子どもの病気・ケガ ホームケアBOOK』(ナツメ出版)、『マンガでわかる! 妊娠・出産はじめてBOOK』(KADOKAWA出版)など

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