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【産婦人科医監修】妊娠中に整えたい自分と赤ちゃんの健康につながる生活習慣と気をつけること

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ママとパパは、おなかの中にいるわたしのために、食べものや起きる時間、寝る時間にも気をつけてくれているみたい。わたしも、ママとパパの毎日の生活リズムにだんだん慣れてきたよ。おかげで、お外に出てからも元気に過ごせそう!

出産するまでの間、どのようにママの体調管理やおなかの赤ちゃんの健康に気をつけていけばよいのでしょうか。つわりが軽くなり、少し余裕がでてくる安定期から整えていきたい、ママやパパ、将来の赤ちゃんの健康づくりにも役立つ生活習慣のポイントを、産婦人科医・医学博士の竹内正人先生がアドバイスします。

  • 【この記事のポイント】
  • 食事をしっかり栄養バランスよく食べて、適切な体重増加を。ママは「やせすぎ」にも気をつけて
  • おなかの赤ちゃんは、胎内にいても生活リズムを認識している。ママやパパもできるだけ規則正しい生活を意識して
  • 妊娠中はホルモンバランスの変化などで歯周病やむし歯にもなりやすいので注意!
【産婦人科医監修】妊娠中に整えたい自分と赤ちゃんの健康につながる生活習慣と気をつけること,ママ、あのね。 【産婦人科医監修】妊娠中に整えたい自分と赤ちゃんの健康につながる生活習慣と気をつけること,ママ、あのね。

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妊娠中は、自分や赤ちゃんの健康を見つめる大切な時期

産婦人科で妊娠がわかると、日ごろの生活への意識が自然と変わるママが多いようです。個人差はありますが、医師や助産師に「こんな食べものは大丈夫ですか?」「運動してもいいでしょうか?」など質問したり、日ごろの食生活や行動などに気を配ったりするようになります。

また、妊娠中は赤ちゃんに栄養を届けるために全身を巡る血液の量が最大1.5倍になるなど、さまざまな負荷が母体にかかります。そのため人によっては高血圧や高血糖など、予想外の症状が出てくることも。ただし、こうしたトラブルは妊娠期間が終わると、ほとんどの場合おさまります。

このように、妊娠中はいろいろな意味で、自分の体調や心身と向き合う時期ともいえます。ママはもちろん、生活を共にするパパ(パートナーの方)もぜひ一緒に、この機会に食生活や健康を見つめ直してほしいと思います。

妊娠中に見直したい、ママとパパの生活習慣

妊娠中の生活習慣は、おなかの赤ちゃんにもさまざまな影響を及ぼします。まずは次のポイントをチェックしてみるとよいでしょう。

食生活

妊娠中は、食事を3食しっかり栄養バランスよく食べることが大切です。かつては「小さく生んで大きく育てる」という風潮がありました。その結果、妊娠中の体重増加を抑えすぎてしまい、やせ型のママが多くなったことが低出生体重児(生まれた時の体重が2,500g未満の赤ちゃん)の増加につながったとも考えられています。

妊娠中にママの体重がなかなか増えないと、赤ちゃんにとって望ましい胎内環境を維持できなくなる可能性があります。また、おなかの中にいる時の栄養状態が望ましくなく、低体重で生まれた赤ちゃんは、将来的に高血圧や糖尿病などの生活習慣病になりやすい可能性が指摘されています。

2021年に日本産婦人科学会の妊娠中の体重増加の目安が改訂されました(表参照)。かつての基準よりも2〜3kgの体重増加が推奨されています。特に妊娠前にやせ(BMI18.5未満)体型だったママは、妊娠中に12㎏は増えましょうというメッセージが含まれています。おなかの赤ちゃんのためにも、しっかり栄養バランスよく食べて、適切な体重増加を意識してみてくださいね。

妊娠前の体格・BMI※値体重増加量(目安)
低体重(やせ)18.5未満12~15㎏
普通体重 18.5以上25.0未満10〜13kg
肥満(1度)25.0以上30.0未満7~10kg
肥満(2度以上)30.0以上個別対応
(上限5㎏までが目安)

出典:公益社団法人日本産科婦人科学会「妊娠中の体重増加指導の目安について」
※BMI=肥満度を表す体格指数。[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出。

早寝・早起き

早寝・早起きをして生活リズムを整えることは、ママだけでなくおなかの赤ちゃんにもよい影響があります。妊娠30週くらいにかけて徐々に、おなかの中で赤ちゃんは「超日リズム」という2~4時間刻みのリズムができていき、だんだんママ自身の生活リズムとも合っていきます。これは産後の赤ちゃんの生活リズムにも影響しますので、ぜひ妊娠中からできるだけ規則正しい毎日を送ってみてください。

日光浴

適度に日光を浴びることを習慣にしましょう。日光を浴びると体内に生成される「ビタミンD」は、赤ちゃんの骨や歯をつくるサポートをしてくれます。冬は日光に当たる時間が短くなりがちなので、春生まれの赤ちゃんはビタミンD不足による「くる病」になる割合が増えるというデータもあります。通勤や買い物、散歩など、意識的に外に出る習慣をつけるとよいですね。

運動

適度な運動はストレス解消や食欲増加、夜の寝つきのよさなど、いろいろな効果が期待できます。担当医からストップがかからない限りは、ウォーキングや水泳、ヨガなど、無理のない範囲での運動がおすすめです。

歯と口の健康を維持する

妊娠中は、つわりなどの影響で体調がよくないと十分に歯みがきができなことがあります。女性ホルモンが増えることで、口の中の環境が変化して歯ぐきが腫れたり、出血しやすくなります。

また、だ液の量や質が変化し、だ液の量が減ることで、口の中がネバネバしやすくなります。そして、だ液の働きも低下してしまうので、口の中の細菌が増えやすくなります。
そのため、歯周病やむし歯になりやすくなるので注意しましょう。妊婦さんの歯周病は、早産などのリスクもあるので特に気をつけたいトラブルです。

産後、子育てが始まると、なかなか自由に歯科医院に行きにくくなります。ママやパパの口の中の環境がよいと、将来的にむし歯の菌が赤ちゃんに移るリスクも低くすることができるので、ママは体調が安定してくる妊娠中期ころに歯科医院を受診しておくことをおすすめします。パパもこの機会にぜひ受診してみてください。

生活習慣を整えて、赤ちゃんの将来の健康につなげましょう

産後、赤ちゃんは生後3〜4か月になると、それまでの2~4時間周期の「超日リズム」から、1日24時間の「概日リズム」へと変化していき、昼と夜の区別がだんだんつくようになります。最初は昼夜関係なく寝続けている赤ちゃんですが、概日リズムにシフトすることで、少しずつ生活リズムが整っていきます。ここでリズムが整わないと、夜泣きやぐずりにつながることも。

ママやパパの生活習慣が赤ちゃんにも引き継がれやすいので、「朝日とともに起きる」「夜には部屋を暗くする」など、赤ちゃんが生まれる前から夫婦で生活のリズムを整えて、家族ぐるみで健やかな生活にしていくことが大切です。

産後のために情報収集しておくと◎

赤ちゃんが生まれてからはお世話で大忙しの生活になるので、妊娠中の余裕がある時期に、赤ちゃんの情報について調べておくとよいでしょう。新生児期から乳児期の事故を防ぐ安全対策や、予防接種のスケジュール、かかりつけ小児科・歯科医院の候補などを調べておくと安心です。

また、ぜひ調べておいてほしいのは“SOSを出せる場所”です。生まれたばかりの赤ちゃんのママは一人で抱え込んでしまうケースも多いので、パパのサポートはもちろん、近所の人や親族、自治体や民間企業のサポートなどをリストアップしておけば、いざという時にすぐに連絡できます。周囲の力を借りながら、適度に息抜きしつつ育児ができる環境を整えておくとよいですね。

妊娠中は、夫婦で家族の健康についてゆっくり考え、見つめ直せる絶好の機会でもあります。食生活や睡眠、運動、歯と口の健康など、ぜひできる範囲で話し合い、実行してみてくださいね。

竹内 正人

竹内 正人(産婦人科医、医学博士)

日本医科大学卒業後、米国ロマリンダ大学(周産期生物学)、日本医科大学大学院(産婦人科学・免疫学)を経て葛飾赤十字産院などに勤務。著書に『マイマタニティダイアリー』など。

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