【カ音が示す健康のサイン】口と認知機能低下の深い関係研究内容をBMC Oral Healthに公表しました

2025年06月19日

歯を失うと食べ物をよく噛めなくなり、栄養が偏りがちです。これが原因で、認知機能つまり考える力や記憶力が落ちたり、認知症になりやすくなることがあります。今回の研究では、介護が必要な高齢者ではなく、自立して日常生活を送る高齢者の口の健康と認知機能の関係について調べました。

〇研究内容
国立長寿医療研究センターのもの忘れ外来を訪れた178名の高齢者を対象に調査を行いました。参加者は、健常者、認知機能低下者(MCI)、認知症患者の3つに分類し、歯の数や噛む力、唾液を飲み込む力、口や舌の動きを測るテストを行いました。

〇主な発見
口や舌の動きが認知機能に影響
特に「カ」と言う音を繰り返す力が、軽い認知機能低下と関係していることが分かりました。調整されたオッズ比は6.930(95%信頼区間: 1.284–37.402、P = 0.024)

体重管理の重要性
体格指数(BMI)が高い人は、認知機能が落ちにくい傾向がありました。歳をとってのやせすぎには注意しましょう。調整されたオッズ比は0.773(95%信頼区間:0.626-0.954、P = 0.017)

嚥下力と認知症リスク
唾液を飲み込む力が弱い人は、認知症になりやすいかもしれません。

〇結論
お口の機能を維持することは考える力や記憶力を保つ助けになるかもしれません。特に、定期的に歯医者さんで口や舌の動きをチェックすると、認知機能の早期低下を見つけやすくなる可能性があります。

〇論文情報
Ishihara, Y., Taguchi, A., Yunoue, S. et al. Oral diadochokinesis performance correlates with mild cognitive impairment: a cross-sectional study. BMC Oral Health 25, 891 (2025). https://doi.org/10.1186/s12903-025-06289-4