第72回日本口腔衛生学会学術大会にて発表しました
2023年08月30日
歯を失う一番の原因は歯周病であり、歯数の減少と認知機能の関連が報告されたことから、歯周病と認知機能低下の関連を調べる研究に注目が集まっております。当財団でも国立長寿医療研究センター(長寿研)と共同で、認知機能低下と口腔状態の関連性を調べる研究を推進しており、これまでに認知機能と歯周病病態、口腔機能の関連について第65回春季日本歯周病学会学術大会で報告しました。
今回、新たに口腔清掃習慣との関連にフォーカスして解析した結果、認知症群は健常群やMCI(軽度認知障害)群に比べてブラッシング時間が短く、歯間部清掃器具の使用率が有意に低いことが判明しました。また、プラーク付着量の指標であるオレリーPCRとMMSE(30点満点の認知機能検査)の相関について解析すると、オレリーPCR値が高いとMMSEスコアが低いといった負の相関関係が認められました。今回の結果から、認知機能低下と口腔清掃習慣に関連があることが明らかとなりました。
今後、軽度な認知機能低下の予兆となるような口腔状態の変化を見出すべく調査研究を継続するとともに、両者の因果関係についても明らかにしていきたいと考えています。そして、早期の予防歯科行動が認知機能低下の予防に繋がる可能性を探索する予定です。
【学会発表内容】
「もの忘れ外来患者の認知機能は 口腔清掃状態と相関する」
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