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【オーラルフレイル対策】口腔機能低下予防っていつからはじめる?

公開日2024年12月20日

75歳未満の患者さんにオーラルフレイル対策って必要?

65~69歳でも3人に1人がオーラルフレイル!
早期発見のために50歳からオーラルフレイルを知ってもらおう

オーラルフレイルは改善が可能な段階であるため、歯科衛生士がはやめに気づき、対策することが大切です。50歳以上の患者さんにはオーラルフレイルについて知っていただき、口腔機能低下の予防につなげていきましょう。

オーラルフレイルとは

●オーラルフレイルの概念
口の機能の『健常な状態(いわゆる「健口」)』と『口の機能低下』との間にある状態である。

●オーラルフレイルの定義
歯の損失や食べること、話すことに代表されるさまざまな機能の「軽微な衰え」が重複し、口の機能低下の危険性が増加しているが、改善も可能な状態である。

※出典:オーラルフレイル 3学会合同ステートメント

 

Oral frailty 5-item Checklist(OF-5)で判定したオーラルフレイルの有病率
65歳~69歳の3人に1人がオーラルフレイル

出典:Iwasaki M, Shirobe M, Motokawa K, et al: Prevalence of oral frailty and its association with dietary variety, social engagement, and physical frailty: Results from the Oral Frailty 5-Item Checklist. Geriatrics & Gerontology International 2024; 24:371-377 をもとに作図

オーラルフレイルについて患者さんに知ってほしいこと

  • ・いつまでも健康な生活を送るためには口腔機能の維持は欠かせないこと
  • ・オーラルフレイルは、「健口な状態」と「口の機能低下」の間にある状態のこと
  • ・オーラルフレイルが悪化すると、口の機能低下を介して口の機能障害に進むこと
  • ・オーラルフレイルは、低栄養やサルコペニア(筋肉減弱)、フレイルを引き起こすと考えられていること
  • ・オーラルフレイルは、 「健口な状態」に回復が可能であること

フレイルとは

高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念

引用:フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント2014年

【歯科衛生士が業務中に気づく患者さんの軽微な口腔の衰え=オーラルフレイル】

現在(残存)歯が少ない
かたい物が食べづらいと話している
洗口でむせる
舌口唇運動の機能低下(滑舌が悪く、何を言っているか聞き取れないことがある、洗口で紙エプロンが濡れるなど)
口腔乾燥(デンタルミラーがはりつく、すぐに粘膜が乾くなど)や口臭がある

口腔機能管理料の対象年齢は50歳以上

日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会が合同でステートメントを2024年4月に発表し、オーラルフレイルを5問で確認できるOral frailty 5-item Checklist(OF-5)が提唱されています。

OF-5は患者さんの主観的な評価のため、オーラルフレイルに該当する患者さんには口腔機能精密検査で客観的な評価を行い、口腔機能の状態を知っていただくことが必要です。
年齢にかかわらず、口腔機能の低下の疑いがある患者さんには口腔機能精密検査が実施可能です。
また、2022年歯科診療報酬改定で対象年齢が拡大されたため、50歳以上の患者さんは口腔機能低下症と診断された場合、口腔機能管理料や歯科口腔リハビリテーション料3など口腔機能管理に関する算定ができます(表)。口腔機能の軽微な衰えに気づいたら、歯科医師に相談しましょう。

口腔機能精密検査で7項目中3項目以上に該当した50歳以上の患者さん

歯科疾患管理料月1回算定可能
初診月 80点
再診月 100点
口腔機能管理料
(+口腔管理体制強化加算→届出必要)
月1回算定可能
60点(+50点)
口腔細菌定量検査2/舌圧検査/咬合圧検査1/咀嚼能力検査1のうち1つ以上低下が認められる場合
歯科口腔衛生リハビリテーション料3月2回算定可能
50点
歯科衛生実地指導料・口腔機能指導加算月1回算定可能
12点
指導内容が歯科口腔リハビリテーション料3と違う場合

※50歳未満でも脳卒中やパーキンソン病等、全身的な疾患がある患者さんは加算可能です。

対策のポイント

オーラルフレイルは軽微な衰えの積み重ねです。
「まだはやいかも」と思い込まず、50歳以上の患者さんにはオーラルフレイルを紹介しましょう。65~69歳の約3人に1人がオーラルフレイルということは、あなたが担当する患者さんにも当てはまるかもしれません。

健康のためには、きちんと食べられる口腔機能を維持することが大切です。
そのためには定期的な歯科健診で問題がないか確認し、現状に合った処置と口腔衛生と口腔機能の指導を受けることをすすめましょう。

オーラルフレイルかもと思ったら

〇オーラルフレイルについて説明
オーラルフレイルチェックを実施

監修:糸田 昌隆

大阪歯科大学 医療保健学部 口腔保健学科 教授
大阪歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション科 科長教授

※監修者情報は公開時のものです。

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