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【う蝕になりやすい患者さん対策】う蝕(むし歯)の原因はショ糖(砂糖)だけじゃない⁉

公開日2024年09月18日

甘い物を食べないのに、う蝕を繰り返す患者さんがいます。どんな食事指導をしたらいいでしょう?

発酵性糖質を含む食事でも、細菌は増殖
食事内容や摂り方を確認してみよう

う蝕を引き起こすう蝕病原細菌は、ショ糖だけでなく発酵性糖質を含む食事でも増殖することがわかっています。

う蝕の再発を予防するため、患者さんへの食事指導の際に発酵性糖質(代謝の副産物として酸を産生するショ糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、ガラクトース、デンプン)を摂取する回数や時間を確認しましょう。

【発酵性糖質】

・ショ糖
・ブドウ糖
・果糖
・乳糖
・麦芽糖
・ガラクトース
・デンプン

【こんな食品も要注意】

・パスタ
・ごはん
・パン
・せんべい
・ポテトチップス
など

う蝕=甘い物だけが原因ではありません。

デンプンを含む米、小麦粉、じゃがいも、とうもろこしなどの食材が加工調理されることで、唾液中の酵素によるグルコースまでの分解が速くなります。そのため調理したデンプンを摂取するとう蝕原生細菌が容易に酸を産生し、脱灰が起こりやすくなります。う蝕予防は口腔内のpH(酸性度)をコントロールすることが重要です。

対策のポイント

「甘いものは苦手」「砂糖を摂っていないからだいじょうぶ」と患者さん自身が思っているかもしれません。
食事の内容の範囲をショ糖から発酵性糖質に広げたり、だらだら長時間摂取していないかなど食事の摂り方も確認したり、患者さんの気づきにつながる食事指導を行いましょう。

監修:天野 敦雄

大阪大学名誉教授、歯学研究科特任教授