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【6~12歳の患者さん】指導に大切な4つのこと

公開日2024年04月15日

その1ブラッシングは徐々に自分で。保護者はサポート役

学童期は、子どもが自分自身で健康を守る行動ができるようになっていく「他律から自律への移行期」。子どものブラッシングにおいても同様です。患者さんや保護者には、これまでの全面的なサポートから、子どもの足りていないところや苦手なところを補うサポートに移行していくことを伝えましょう。
例えば、保護者が口腔内全体をみがく「仕上げみがき」から、みがき残しが多い歯など必要な部位だけをみがく「点検みがき」へ、徐々に移行するようアドバイスします。
このようなサポートは、少なくとも10歳くらいまでは必要なことも伝えるとよいでしょう。

その2第一大臼歯が萌出。う蝕から守ろう

第一大臼歯は近年、萌出時期が遅れてきていることがわかってきています。第一大臼歯は咬合や歯列の基準ともなる最も大切な歯であり、口腔機能の多くの役割を担っています。特に、第一大臼歯の咬合の成立時期(8~9歳)は、咀嚼筋の発達時期であり、咀嚼筋の発達は、顎骨の成長と密接な関係にあります。
患者さんや保護者には、しっかりとした咬合を育成するためにも、第一大臼歯をう蝕から守ることの大切さを理解してもらいましょう。

その3発達段階に応じた支援をしよう

学童期における心身の発育・発達はとても顕著なだけに、保護者や歯科医療従事者は、子どもの変化・成長を見据えた支援を行うことが求められます。子どもの基本的な生活習慣の定着を図りながら、発達段階に合ったセルフケアを自律的に取り組めるようサポートすることが重要です。

その4永久歯の交換順序に着目しよう

学童期の患者さんの診療では、永久歯が年齢に合わせて萌出しているかを確認するだけではなく、「交換順序」にも着目することが大切です。交換順序によって、その先の歯列にも影響が出てきます。
例えば、9~10歳に交換する側方歯群では、上顎においては、第一小臼歯→犬歯→第二小臼歯の順に交換することが理想的です。犬歯が第一小臼歯より先に萌出した場合、切歯部に叢生がみられることがあります。また、犬歯が第二小臼歯より遅れて萌出した場合、犬歯の低位唇側転位がみられることがあります。
患者さんや保護者には、永久歯には交換順序があり、それが歯列にも影響することを伝えましょう。永久歯が「生えてきた」だけではなく「適切な順番で生えているか」まで着目することが大切です。歯の健康に対する意識が高まり、より自主的にブラッシングに取り組むきっかけになるでしょう。

まとめ

6~12歳の患者さんは、徐々に自分のことが自分できるようになっていきます。患者さんの自主的な行動を促しながら、永久歯の萌出や交換をしっかり確認していきましょう。

監修:朝田 芳信

鶴見大学 歯学部歯学科 小児歯科学 教授

※監修者情報は公開時のものです。