職域での歯科医療費に関する研究活動の推進

2023年04月14日

健康保険組合では医療費レセプト・健診情報等のデータの分析に基づく、効率的・効果的な保健事業をPDCAサイクルで実施することが求められています。

健康保険組合において医療費における歯科医療費の割合が高いことがわかっています。しかしながら、職域では口腔の健康の保持増進を目的とした歯科保健活動を実施している健康保険組合や企業は少なく、歯科保健活動と歯科医療費との関連性を検証している報告は極めて少ないのが現状です。そこで今回、獨協医科大学医学部公衆衛生学講座と共同で職域での歯科健診への受診頻度と歯科医療費および医科医療費との関連性を明らかにするために研究を行いました。

本研究は、20歳から59歳の従業員2691名(男性2099名、女性592名)を対象に、12年間の職域での歯科健診受診頻度から、「1年に1回」、「少なくとも2年に1回」、「それ以外の不定期」の3群に分類し、12年間の一人あたりの累積歯科医療費および累積医科医療費との関連を調べました。
その結果、20~39歳では「それ以外の不定期」群に比べ「1年に1回」群、「少なくとも2年に1回」群で累積歯科医療費が有意に低く、40~59歳では「1年に1回」群で有意に低いことが示されました。
これらの結果から、職域での「1年に1回」、「少なくとも2年に1回」の歯科健診受診は、歯科医療費の抑制と関連していることが示唆され、特に「1年に1回」の歯科健診受診の推進が重要であることが考えられました。
本研究に関する論文がBMJ OPENに「Association between the interval of worksite dental check-ups and dental and medical expenditures: a single-site, 12-year follow-up study in Japan」という題名で掲載されました。

今後も歯科医療費に関する研究を継続し、職域における歯科保健活動を推進していきます。